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ルパン三世カリオストロの城|宮崎駿監督

先日にスタジオジブリ、宮崎駿氏の作品をふりかえってみようと思い立ちました。第一回目の前回は『パンダコパンダ』を観ました。続く第二回目は『ルパン三世 カリオストロの城』です。

振り返り第一回目に観た『パンダコパンダ』は作品の存在さえしりませんでした。第二回目の『ルパン三世 カリオストロの城』は、テレビ放送していた時にチャンネルをまわしながら、部分的に観た記憶があります。あやしい記憶ですが、人間の記憶はそういうものだと思います。

観る機会があったにもかかわらず観なかった。その頃のわたしには興味がなかったのかもしれません。アニメや漫画やゲームを時間の無駄と思っていた時期が、わりと長い間ありました。今はアニメも漫画もゲームも大好きです。年々大らかになります。

この物語を書き、映像に仕上げる。相当な知識や勉強が必要だと感じました。タイトルはそういった意味です。映画のタイトルの「カリオストロ」という言葉ひとつに、作品を果てしなく広げ、おもしろさの根をめぐらせる仕かけがあるように思いました。

カリオストロ――。

作品を観終わり、一息つきながら他の用事をしていると、ふいに「カリオストロって、なんやろ?」という疑問がわきました。うすくてにぶい感覚でした。からだからはなれません。

仕方なくウェブ検索をすると、いろいろ出てきます。たくさん出てきたなかから、わたしがおもしろいと思ったことは、大きく2つありました。

ひとつめは、アレッサンドロ・ディ・カリオストロ(ジュゼッペ・バルサーモ)氏。

フランス革命前のフランス王国、ブルボン朝時代に生きたらしい人です。ジャン=ジャック・ルソー氏や、ヴォルテール氏などと、おなじような空気を吸いました。この人は、詐欺師(もしくは、愉快犯)で、フリーメイソンといわれているので、『カリオストロの城』のカリオストロ伯爵(グラフ・ラザール・ド・カリオストロ氏)に大きな影響をあたえていそうです。日本で平凡に暮らすわたしには「フリーメイソン」という言葉がどんな現実をあらわすのかわかっていないですけれども、その類の本でみたことのある知識によると、伯爵とクラリス・ド・カリオストロ姫との結婚式が、それっぽい雰囲気だと思いながら見ていました。

ところで、この伯爵や姫についている「ド」という言葉は、フランス人のオノレ・「ド」・バルザック氏も、貴族の証として必死につけたがっていたという話を聞いたことがあるのですが、独立国家のカリオストロ公国も似たような文化をもっていたということでしょうか。(ヨーロッパのこういった習いに詳しい方がいましたら、お教えください。)

ふたつめは、初代ルパンの生みの親、モーリス・マリー・エミール・ルブラン氏。

「カリオストロ伯爵夫人」「カリオストロの復讐」「緑の目の令嬢」というタイトルの作品を書いています。なかには、クラリスという女性も出てくる作品もあるそうです。わたしは推理やミステリーをあまり読まないので、モーリス・マリー・エミール・ルブラン氏の作品は読んだことがありませんが、この方はフランス人ですので、おそらく主な登場人物はフランス人だと思います。もしそうだとして、初代ルパンのアルセーヌ・ルパン氏がフランス人だとすれば、孫のルパン三世にもフランスのなにかが宿っていることになります。今回の『カリオストロの城』の伯爵も姫も、独立国家でありながらフランスと似たところがあるのも、そういった流れかもしれません。

「カリオストロ」という言葉ではなくて、『カリオストロの城』という作品自体に角度にかえてみて見ると、宮崎駿氏は、江戸川乱歩氏の『幽霊塔』から影響を受けたらしく、その江戸川乱歩氏は、黒岩涙香氏の『幽霊塔』をリライトしたらしく、さらにその黒岩涙香氏は、アリス・マリエル・ウィリアムソン氏の『灰色の女(A Woman in Grey)』を元ネタにしたという、なにがなにやらという感じです。さらにウィリアム・ウィルキー・コリンズ氏の『白衣の女』という作品もあるそうです。連綿と続く芸術活動に、大きな力を感じてしまいます。

わたしが子どもの頃から観ていたアニメの『ルパン三世』と違和感があったのは、銭形警部のかっこよさでした。ドジばかりの銭形よりも、かっこいい銭形の方が好きでした。また、西ドイツやマルクなど、今ではあまり聞かない言葉もとびかっていたので、作品がつくられた時代(1979年ごろ)を生々しく感じることができたこともよかったです。

他にもいろいろあるのでしょうが、今回書いたことだけでさえ、この作品になにかしらの奥行きや深みがでていることが、ある意味では当然のことのように思えます。芸術の上に芸術が積み重なり、そしてこれからも才能あるだれかが、僕らをたのしませてくれるのでしょう。

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