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幽霊塔|江戸川乱歩

先日から宮崎駿氏のアニメーション作品をふりかえっています。振り返り第二作目の『ルパン三世 カリオストロの城 』がおもしろかったので、少し踏みこんで調べているうちに道草をくいました。

江戸川乱歩氏の幽霊塔

宮崎駿氏の言葉にひきずられるように、江戸川乱歩氏の『幽霊塔』を読みました。

今から60年前、僕は「幽霊塔」に出会った。ものすごく面白かった。怖くて、美しかった。歯車やロマンスにあこがれ、それが種となり、僕は「ルパン三世 カリオストロの城」を作った。

こわがりのわたしは、多くの作品で人が殺されるという理由だけで「推理、ミステリー、ホラー」等の作品を読みません。活字、映画、人の話、あまり関わらないようにしています。また、人気のない暗い場所に一人でいるとお化けや幽霊や妖怪などを、心の中で次々とうみだしていきます。

とまあ、そんな人間が推理小説を読みはじめてみると一文一文にどきどきし、そわそわし、ふだんの生活では味わえない感情にどっぷりとひたりました。ファンが多いことも納得できます。江戸川乱歩氏のつくりだす雰囲気を少しもこぼさないようにして、独特の世界に包まれていました。数百ページに渡って。

そうしながらもあたまの隅っこのほうでは宮崎駿氏の言う「種」が気になっていたので、江戸川乱歩氏バージョンの『幽霊塔』を『カリオストロの城』と比べながら、わたしなりに読みました。なんとなくはっきりとは書きにくいので、ぼやかして書きます。

『幽霊塔』と『カリオストロの城』

1.
カリオストロの城:時計塔と財宝
幽霊塔(時計塔):時計塔と財宝

2.
カリオストロの城:カリオストロ城の迷路のなかに、軍人(河上源之助)の骸骨があった
幽霊塔(時計塔):時計塔の迷路のなかに、渡海屋市郎兵衛の骸骨があった

3.
カリオストロの城:カリオストロ伯爵のいる部屋を、壁にかけてある肖像画の目から峰不二子がのぞくアイデア
幽霊塔(時計塔):北川光雄を閉じ込めた養虫園の部屋を、壁にはってあるポスターの目から医学士股野礼三がのぞくアイデア

4.
カリオストロの城:ルパン三世がクラリス・ド・カリオストロから奪ったもの(銭形警部のセリフ)
幽霊塔(時計塔):北川光雄が野末秋子から奪ったもの(黒川太一のセリフ)

実際のところは作った人にしかわかりません。あくまでも下敷きにできたところは、細かなネタから名シーンまでありました。また、数珠つなぎに気になったこともありました。

芦屋暁斎と河鍋暁斎

芦屋暁斎という人物が出てくるのですが、河鍋暁斎氏と関係があるかもしれません。河鍋暁斎氏(1831―1889)は、一般的には「風刺、妖怪」の画家と評されることの多い画家です。しかし、本当はなんでも描ける画家でした。江戸川乱歩氏は、芦屋暁斎にこう語らせます。

ここまでくると、もう医学の領分ではない。芸術じゃ。画家がまったく架空の美しさを、カンバスの上に描き出すように、わしは生きた人間の顔に、新しい美を創造しなければならなかったのじゃ。

芦屋暁斎の住所は東京麻布区今井町。河鍋暁斎氏の弟子の西洋建築家ジョサイア・コンドル氏も、東京麻布区今井町に住んでいたことがあるみたいです。名前も住所も単なる偶然かもしれませんが、江戸川乱歩氏の趣味と、河鍋暁斎氏の趣味に、どこかしらおなじ雰囲気のものもありますので――

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