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ストランドビーストの世界|テオ・ヤンセン

「テオ・ヤンセン ストランドビーストの世界」を買う

先日はミニ・ビースト「アニマリス・リジデ・プロペランス」のおもちゃを買っただけでしたが、家に帰ってからテオ・ヤンセン氏のことを調べているうちに、一緒に販売されていたDVD付の一冊の本も欲しくなりました。
(※「アニマリス」とは、「アニマル」と「Mare(海)」からもじったテオ・ヤンセン氏の造語です。)

今朝、子どもと海辺を散歩するついでに、もう一度トヨタの「アートと科学の融合」に行き、「テオ・ヤンセン ストランドビーストの世界|Theo Jansen THE WORLD OF STRANDBEEST」を買いました。
(※トヨタの戦略はどうしても二番煎じに見えてしまいます。約10年前の2006年、BMWがものづくりという視点で自社の製品とストランドビートルとの間に共通性を見いだし、「アニマリス・オルディス」をCMに出演させています。トヨタ自身の目で見つけたものとコラボレーションして欲しいところですね。)


BMW (South Africa). Defining innovation.

「テオ・ヤンセン ストランドビーストの世界」の構成

この本は以下の内容で構成されていました。

  • ストランドビーストの進化史(THE HISTORY OF STRANDBEEST'S EVOLUTION)
  • ストランドビースト進化系統樹(FAMILY TREE OF STRANDBEEST)
  • ビーストの生まれるところ(BEEST LABORATORY)
  • ストランドビースト メカニズムの基本ABC(BASIC MECHANISM OF STRANDBEEST)
  • テオ・ヤンセン 思考する手の記録(THEO JANSEN SKETCH OF STRANDBEEST)
  • テオ・ヤンセン 思想の原点~新聞コラムに見る発想~(THEO JANSEN THE ORIGIN OF IDEA)
  • 対談 テオ・ヤンセン×茂木健一郎(CONVERSATION WITH THEO JANSEN AND KENICHIRO MOGI)

ストランドビーストの進化史

ストランドビーストの進化史には、20年以上にわたるストランドビースト歴史を生きているテオ・ヤンセン氏の言葉が書かれていました。そのアイデアの着実な進化に心が打たれました。

私はビーストを構成するすべてをプラスチックチューブで作りたいと思っている。自然の大部分がタンパク質でできているように、私も独自の生命体を単一の物質から作りたいのだ(グルトン期1990-1991)

独自の生命体を単一の物質から作りたい――。

海水の水位は高くなり続け、我が国の国土が縮小する危機に瀕している。問題はいかにしてより多くの砂を砂丘に確保するかだ。永続的に大量の砂をほぐし、それを空に放ち、砂丘に積もらせる……そんな生き物が砂浜には必要だ。これを実現するための生き物を私は考え出した(グルトン期1990-1991)

国土を守るという使命――。

ビーストの生まれるところ

テオ・ヤンセン氏は、この本を読んだ印象では職人です。同じ彫刻家の佐藤忠良氏とやっていることは同じです。フランソワ=オーギュスト=ルネ・ロダン氏とも同じです。手を休めることはありません。作品の遺伝というアイデアもロダン氏と似ています。

延々とくり返される単純作業。しかし、手を動かすことで、さまざまなアイデアも湧いてくる。作業と同時に頭脳はフル回転しているのだ。

対談 テオ・ヤンセン×茂木健一郎

プラスチックチューブの制限に導かれるままに、機能的に作ろうとして、結果としてそこに美があっただけなんだ。(中略)たぶんだけど、真の美とはその物体がいかに美しく見せかけるかではなく、あくまでもそのものが辿った道、過程にあるんのだと思う。

機能的なものの先にある美しさ――。結果というのは、過程の積み重ねを意味しているにすぎないのかもしれません。

もちろん、芸術家を名乗ることによって生計が立てられるなら、芸術家でいいよ(笑)。でも、科学者も、技術者も、自分が思っているよりは芸術家のはずさ。

「芸術家、科学者、技術者」というラベルに縛られないで平然としていられることも、オランダ人の得意とするところなのかもしれません。国土についても――。(※後日追加予定)

コラムを書くことによって、毎日考え、新たなものを見つける作業を強要させられたんだ。まあ、脳の筋トレかな。結果、毎日考えながら海辺を歩いたりしているうちに、ストランドビーストの概念が生まれたんだ。

ここでも手を動かしています。

一言で言うと、私は不滅の存在になりたいのかもしれない。人間はみなそうだと思う。子どもを産み育て、自分という存在を、自分の足跡を残す行為と似てるんだ。

プラトン『饗宴』の思想がここにも現れていました。ストランドビーストにはいろいろな段階の子孫が含まれています。

そしてそこから新たな創造がはじまる。なんせ、私は創造は好きだけど、修理は嫌いだからね(笑)

ライフサイクルを意識しています。「生命の終わり」や「絶滅」を宣言する。だから、次の創造ができる。


進化やフォルムという言葉を聞くと、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ氏や、パウル・クレー氏などを思い浮かべます。デッサン力に関しては、レオナルド・ダ・ビンチ氏よりも、パウル・クレー氏に近いです。

追記

文字を読む方が好きですので、先に本を読みました。DVDは後日観ます。

DVDに収録されているコンテンツは以下のものです。

  • 進化するストランドビースト(STRANDBEEST EVOLUTION)
  • ストランドビーストの子どもたち(THE SONS OF STRANDBEEST)
  • テオ・ヤンセン インタビュー集(INTERVIEW WITH THEO JANSEN)

特典映像として以下のコンテンツが含まれています。

  • ドキュメンタリー映画「おとなのかがく」
  • テオ・ヤンセン@長崎県美術館
  • 進化するストランドビースト「副音声バージョン」

www.akumademo.com
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