あくまでも「ブログ」。

「芸術、お金、仕事」のことを書いています。「ハッピー・ライティング」を目指します。

役にたつもの、役にたたないもの

頭が疲れ切った時、ぼんやりと藤原行成氏の日記を読んでいます。
物語らしい物語はないのだけれども、これが本当の物語のような気もしてきます。

正岡子規氏の日記や、夏目漱石氏の日記。
そんな感じと似たようにして、藤原行成氏の日記を読んでいます。

この本に、この日記に、なにも求めていません。

毎日仕事をして、仕事の役に立つ本を読んで――
時代の違う一人の人間の日記を、覚えるでもなく、感動するでもなく、
ぼんやり目を紙に並んだ文字のうえですべらせるだけです。

だから、心が落ち着きます。

役に立つことは、本当のところでは、おもしろくはないのかもしれません。
役に立たないことのほうが、ここ一番の時には、おもしろいのかもしれません。

厳格に抑制された日記の文章から、千年前の声が聴こえるような気もします。

だれだったか、漱石だったか、
どこかで見たような言葉が、わたしという勝手な翻訳を通して、浮かんで、消えていきます。

役にたつということは、役にたつというだけのことで、
役にたつために生まれてきたわけでもないし、また、詩的にはなんら価値もない――