怪盗紳士ルパン|モーリス・ルブラン
怪盗+紳士というギャップから生まれた魅力
GENTLEMAN-CAMBRIOLEUR。
紳士と泥棒がひっついたら、アルセーヌ・ルパンになった。ひっつかないはずのものをひっつけたことで、どこにもいない架空の人物が、息を吹き、世界を飛びまわりはじめた。先駆けること100余年のギャップ萌え男子かもしれません。
モーリス・ルブラン氏のフランス式ユーモア
神出鬼没の怪盗。フランス一の名警部、老ガニマールが命がけで挑戦している人物。城館や富豪のサロンしかねらわない風変わりな紳士。ありとあらゆるものに変身できる男。その中でも、おもしろい紹介文はこちら。
とある夜、ショルマン男爵の邸にしのびこみ、<いずれ家具がほんものになりましたら、あらためて参上。怪盗紳士アルセーヌ・ルパン>と名刺に書き残し、手ぶらで立ち去ったふしぎな人物。『怪盗紳士ルパン』モーリス・ルブラン
フランス一流の健全なユーモアは颯爽として清々しいですね。
元心理小説作家、モーリス・ルブラン
モーリス・ルブラン氏は、アルセーヌ・ルパンを生み出すまで、心理小説を書いていたそうです。その経験がルパンにも存分に発揮されています。アルセーヌ・ルパンは、他人の心を意志の力で操作します。
導入文もかっこいいです。ふるえます。オノレ・ド・バルザック氏の魂でも根付いているかのように感じました。
収録されている短編作品
- ルパン逮捕される、獄中のアルセーヌ=ルパン、ルパンの脱獄
- ふしぎな旅行者
- 女王の首飾り
- ハートの7
- アンベール夫人の金庫
- 黒真珠
- おそかりしシャーロック=ホームズ
駄作のないことにおどろきです。無駄のない短編集と出会うことはむずかしいものです。モーリス・ルブラン『怪盗紳士ルパン』は、全話とも面白く読みました。
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