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U2のアルバム|ロックバンドの音楽

U2を一枚しか聞いたことのないわたしに、なかなかのメールが届きました。
「U2のおすすめのアルバムおしえて。」

その一枚は2000年に発表された『All That You Can't Leave Behind』。15年以上前、たしかに聞きました。友人とU2の話をした記憶もあります。「このカッティング、ピックが弦を透き通ってるような音と思えへん?」

楽器をさわらなくなってずいぶん経ちます。なぜ今。

アルバムが13枚ほどあるので、おなじアイルランド出身の作家ジェイムズ・ジョイス『ダブリンの人びと』を読みながら聞きます。オートミールとか、町の雰囲気がでたらいいなと。メンバーはだいたい1960年生まれ。1976年に結成。デビューは1980年ごろ。


『Boy』(1980)

デビューアルバム。20歳くらいです。歌も楽器のアレンジもすでにかっこいいです。若者らしくリズムが前のめり。年齢相応の仕上がりです。友人にはおすすめしません。



『October』

技術が表現に追いついていない時期。楽曲はいいです。友人にはおすすめしません。



『WAR』(1983)

演奏は若いです。デビュー作と比べると技術が磨かれています。現在の異次元の演奏力を見ると、こういう時代にほっとします。ブレイクビーツで作ったようなリズムでアルバムがはじまります。音のチープさが生々しくてかっこいいです。攻めに攻めます。まっすぐで、エネルギーにあふれています。トランペットも鳴ります。タイトルからしてメッセージに重心をおいているアーティストだとわかります。英語がききとれれば、もっと魅力がわかるのかもしれません。友人におすすめしたいアルバムです。



『The Unforgettable Fire』(1984)

3曲目「Wire」。30年以上前の音楽。アルバム名はある絵画から。現代に通じます。アルバム全体の雰囲気がいいです。8曲目『Indian Summer Sky』という曲があります。Red Hot Chili Peppers(1983年結成)との接点を感じました。ぎりぎり友人にはおすすめしないアルバム。



『The Joshua Tree』(1987)

U2でしか聞けない音。1曲目「Where the Streets Have No Name」の美しさ、4曲目「Bullet the Blue Sky」のかっこよさ。1990年代の時代の波に乗ったミクスチャーロック系のバンドは数多くあったけれども、1987年のアメリカ南西部の砂漠地帯に生えるユッカの樹よりも先に枯れました。このアルバムで人気が爆発したそうで、なにかしら思うところまでたどりついたのかもしれません。アルバムのバランスとしてはアメリカ文化が濃すぎるので、日本人のわたしには退屈な曲もあります。その視点から友人にはおすすめしません。



『Rattle and Hum 』(1988)

カバーのようなものがいろいろはいっています。息抜きというか、キャリアの棚卸をしたのかもしれません。この後、バンドは新しい方向へ舵を切ります。友人にはおすすめしません。



『Achtung Baby』(1991)

模索中でしょうか。楽曲としてのクオリティはあまり感じませんでした。なにかをしようとしている実験室のようなムードが漂っています。先駆者にはこういった作品があるものなのかもしれません。時代は冷戦崩壊後、湾岸戦争。7曲目『The Fly』はなんとか――。友人にはおすすめしないアルバム。



『ZOOROPA』(1993)

前作から2年。まださぐっています。3曲目「Numb」。6曲目「Daddy's Gonna Pay For Your Crashed Car」。友人におすすめするにはあと一息。



『Pop』(1997)

冒頭3曲の切れ味のよさ。10年以上前からやっているブレイクビーツの延長。全部こっち路線で作ってほしかった。ハービー・ハンコック氏『Future Shock』を聞いたときの衝撃レベル。1曲目『Discothèque』、2曲目『Do You Feel Loved』、3曲目『Mofo』の3曲だけで、友人におすすめしないわけにはいきません。7曲目『Gone』。




『All That You Can't Leave Behind』(2000)

この一枚だけ聞いたことがありました。よく聴いたアルバムですので、懐かしさが邪魔して冷静に比較できません。いい曲をいい声で歌っているアルバムです。トータルバランスの優れた作品。アルバム全体通して流せるアルバムだったことを覚えています。



『How to Dismantle an Atomic Bomb』(2004)

無意識に前作を基準にしました。それほど反応しませんでした。昔から北欧の雰囲気はありましたが、より還りつつあるかもしれません。タイトル――。友人にはおすすめしません。



『NO Line on the Horizon』(2009)

聞いていておもしろいです。ジャケットも美しい。友人におすすめします。



『Songs of Innocence』(2014)

ブレないU2。現代の音。他のアーティストの音も吸収します。若者とも交流しているのだと思います。アイルランドらしく、ボーカルはささやきます。ギターはえぐい音ときれいな音が調和。15年前に調べたかぎりでは、このえぐい音はVOX「TONE BENDER」というファズ系エフェクター。リズムは多くの曲で踊りやすいものを採用。基本の音がいいのでなにをやってもかっこいいです。しかし、気になる曲もありません。友人におすすめしようとは思わないけれども、トータルバランスの安定した質のいいアルバムです。


Jimmy Page & "Tone Bender" fuzz pedal


2000年発表の1枚を除いて、12枚のアルバムはほとんどはじめて聞きました。今でも人気がある理由がわかりました。もうすぐ60歳くらいだと思います。過去に売れたロックスター的なおじさんバンドという偏見が洗い流されました。機会をつくってくれた友人に感謝します。


どのアルバムをおすすめしましょう。まじめに聞くとむずかしくなりました。どのアルバムにも魅力と欠点があり、人間らしいアルバムでした。

『NO Line on the Horizon』(2009)
『All That You Can't Leave Behind』(2000)
『Pop』(1997)
『WAR』(1983)

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