プラド美術館展|兵庫県立美術館
プラド美術館展――ベラスケスと絵画の栄光――
プラド美術館展へ行ってきました。副題に「ベラスケス」と入っていますので、衝動的に行きました。春からの忙殺的な仕事も一段落つきましたので、昼に仕事を早退して大阪から兵庫県立美術館へ向かいました。
いろいろな作品がありましたが、ディエゴ・ロドリゲス・デ・シルバ・イ・ベラスケス氏の作品の他は、特に興味がわきませんでした。なぜでしょうか。
また、ベラスケス氏の作品は、書かれているものが何であろうと、書かれた対象に興味がなくとも、ずっとながめていることができます。近くで見ると、かなりラフに描かれているところもあります。
細かく書いてあるところと、大ざっぱに仕上げているところがありました。以下のフランソワ=オーギュスト=ルネ・ロダン氏の言葉はレンブラント・ハルメンソーン・ファン・レイン氏に対する言葉ですが――
近くで見ると、この画は外のよりも雑に出来てるように見えます。なおざりな荒い筆触で画かれたと人は言うかもしれません。全体を見る時それが真の傑作である事がわかります。(略)
護るべきものと犠牲にすべきものとを知っている。彼は、その背後に、彼の外の画で画いた細部の研究をすべて持っている。そしてここに至って彼は自由です。自分の主です。(略)
細部のない単純化は貧弱しか与えません。細部は、組織の中をめぐる血です。全体の中に入れられるべきものであって、全体はそれを包むので、殺すのではない。これが本当の単純化です。
メニッポスの衣の下に、右腕をしっかりと感じることをができたことも、こういったことに関係があるのかもしれません。
ベラスケス氏の作品は見ていて、レンブラント氏の作品を連想します。きっちりと画かないところが、特に――そして、そこに、とてつもない魅力があり、惹きこまれます。イメージは、ポール・セザンヌ氏へ、雪舟氏へ――
ベラスケス氏の作品のみが見どころでした。それだけでも価値は充分です。しかし、全体としての印象はものたりませんでした。
一人で気ままに芸術と向き合う時間が、心の安定や充実をもたらしてくれることを改めて感じました。
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